≪出逢いの記録≫
お約束の ≪釣行記≫ を書きました
毎度の事ながら 想い入れ&思い込み がタップリです♪(笑)
ですから 「あそこは違うだろ!」とか 怒らないで下さいネ
※ 毎回の事ですが、ポイントの詳細はあえて載せていません。
個人個人で様々な考え方があると思いますが、
私は、現時点ではそれがベストだと考えているからです。
「ふぅ~ん!」と軽く、笑って読んで頂ければ幸いです。
『 サクラマス釣行記 』 ≪出逢いの十二≫
耳元に置いてあった、
携帯電話のけたたましい着信音で目が覚めた。
「はい、もしもし・・・」
「何処にいたの?」
「いや、まだ布団のなかですよ・・・」
「何だ、随分と余裕だなぁ・・・」
「いやいや、まだ2月ですからねぇ・・・」
「今から出ようと思っているんだけど・・・」
「じゃぁ、私も直ぐに出ます」
「先ずは、いつもの所に行ってみるから・・・」
「はい! じゃぁ、後で現場で・・・」
時計を見ると8時半を過ぎていた。
〝Kさん〟も今日はゆっくりだな。
家族に出掛ける旨を伝えて、
慌ただしく身支度だけ整えて、家を出た。
「さて、今日は何処から攻めてみようか?」
いつもの事だけど、
その日に入るポイントは車で走りながら考える。
攻めたいポイントを全て回ることは出来ないし、
何しろ、まだ2月。
過去、この時季に釣った経験は無いので全てが手探りだ。
勿論、出掛けるからには
「ならば釣りたい」と思っている。
しかし今の時期に
「釣れる」とは、正直なところ思っていないのだ。
日本海側の話や、
ポツリポツリと入って来る「釣れた情報」に
「じゃぁ、そろそろ動き出してみようか?」程度の事。
3月後半の最盛期までには、まだまだ時間があるし、
早くから飛ばし過ぎると、息切れがしてしまう。
この時期は、水も澄んでいるし、
水量も少ないからボトムの形状が良く見える。
ウロウロと歩き回っているうちに
「ニューポイント」の候補地が見つかるかも知れない。
あれこれと考えているうちに、場所が決まった!
なんの事は無い、昨日の夕方に振った場所。
その時は、とても風が強くて釣りにはならなかった。
今日は、斜め後からの追い風がややあるが、
ラインを持って行かれるほどでは無い。
目の前に良い感じの〝流れのヨレ〟がある
できればそのヨレのカーテンを
ルアーが〝横切る〟のではなく〝平行に遡る〟ように
上流からダウンで通したい・・・・・我儘だな。
アップクロスからダウンクロスまで、ひととおり通す。
カラーを替え、ルアーを替え、
立ち位置を変えて気分を変えて・・・
集中力を切らさないように。
次の一投に来るかも知れない! と信じながら。
しかし、期待とは裏腹にルアーは毎回、
何事も無かったように手元に帰って来るばかりだ。
暫くして、移動を決めた。。。
次に向かったのは
『ポイント・チェリー』
目新しい足跡が無いので、
幸いにも今日、ここに先行者は居ないようだ。
ここは、さっきとは違ってやや向かい風。
しかし、吹いたり止まったりと波がある
ラインの先には、さっきから付けっ放しの
DD・パニッシュ95(アユカラー)
第一投目、フルキャストでダウンクロス
予想以上に飛距離は出ないようだ。
着水と同時にロッドを立ててラインスラッグを取り、
大きく1ジャーク入れてミノーを潜行させる。
リップが水流を受けて、バランス良くウォブルし、
ライン角度の分だけドリフトをしながら
徐々に、徐々にとミノーは上流を目指す。
時おり、フッとイレギュラーにダートするのは、
想像以上に複雑な流れが、
水面下には存在しているからなのだろう。
ラインの先へと向けていた視界に、
突然、下流からミノーが飛び込んできた。
偏光グラスが水面の光の反射を押さえて、
水の透明度と相まって水中が実に良く見える。
足元から5m程の所にあるかけ上がりに、
今、まさにミノーが差し掛かった瞬間!
ミノーの斜め後、沖側50cmの距離に
『何か?』 が動いた・・・・・
正確に言えば、見た瞬間は何だか解らなかった。
しかし、その残像を思い出して、
記憶の中にある物に当てはめてみる・・・
記憶と残像が一致した!
その名前は・・・
『尾びれ』
それが、大型の魚類の尾びれだと思い付いた時、
ミノーは既に水面を割って
ロッドティップの先にブラ下がっていたのである。
「しまった・・・・・・」
明らかに、大きな魚がミノーを追って来たのだ。
追っては来たが、喰い付くまでには至らなかった。
目を閉じて、集中して、記憶を探る。
あの尾びれは、反転しなかったように見えた。
追いかけても追いかけても、届かなくて、
諦めたように流れの本流側に反れて行った感じ。
だとしたら、そいつはもっと上流へ遡っただろうか?
それとも、
いつか見たヤマメのように、
今まで自分が定位していた場所へと戻って行っただろうか?
自分の中での選択肢は3つ。
○ このまま、この場所で振り続ける。
○ 20mほど上流にある開けた立ち位置まで移動する。
○ それとも、この場所を少しの間休ませる。
私が選択したのは、この場所で振り続ける・・・だった!
何故か? と聞かれれば、理由は一つ。
移動も休憩も、我慢が出来なかったのである。
とにかく、
闇雲にでも、滅茶苦茶にでも・・・・・
何十投でもいい、ただただロッドを振りたかったのだ。
それから夢中で5投ほどして、ふと我に帰った。
もしかしたら、このカラーにスレてしまったのか?
だとしたら、カラーを変えてみようか?
アユカラーから、もう少し派手な色に・・・
いや、いっその事ミノーを替えてみようか?
その時、ケースの中で一際輝いていたのが居た!
シュガーディープ90F(グリーンタイガー)
澄み切った水中で、メタリックなギラギラが、
〝彼女〟を誘ってはくれないだろうか?
こいつに賭けてみようと決心した。
ミノーを交換している間に、少しだけ冷静にもなれた。
まてよ!
ミノーを追いかけるだけの、やる気はある!
ただ、追い切れなかっただけ!なのだとしたら・・・
無意識にリトリーブが早くなってはいないか?
第一投目のように下流45°にフルキャスト!
今度は、かなり飛距離が出た。
気がつくと、嘘のように風が止んでいた。
着水から1ジャーク・・・
ティップを下流側に向けてゆっくりとリトリーブ。
ミノーが替わった事で手に伝わる振動が変わった。
プルプルプルプル・・・・・
今度は、ゆっくりとゆっくりと・・・・・
出来るだけスローリトリーブを心掛けた。
〝彼女〟が喰い付きやすいようにと・・・
すでに放出ラインの半分が、
スプールに巻き込まれようとしていた。
ミノーの位置は、完全なダウンの逆引き状態。
水流とラインが下流に向けて一直線になった。
その時!
脳天まで響くような 衝撃!!!!!
『 ズ ン ッ ! 』
ハンドルを巻く手が止められる。
ティップに重量感が乗り、ロッドが大きくしなる。
反射的にロッドを立てていた。
そして、突然ティップが動き出した!
グンッ グンッ グン グン グン
首を振っている・・・間違い無い!
〝彼女〟だ!
サクラマスだ!
ヨォーッシ! キターーーーーッ!
暫し、ロッドを矯めて我慢する。
首振りがおさまるまでこのままでいよう。
ここは無理をする所では無い。
ところが、流れのせいか、掛かったレンジのせいか、
予想以上に早く浮上してきてしまったのである。
一昨年の記憶が蘇る!
首振りの最中に、水面に頭を出させてはいけない。
思わずロッドティップを水中に突っ込んだ。
それが、何かの刺激になったのか首振りが止んだ。
今度は流芯に向かって突っ込んで行こうとする。
素早くロッドを切り返して、それに耐える。
すると、ドラッグがジジィーと気持ち良く鳴き出す!
何度かの突っ込みを耐えているうちに、
5mの距離に近づいて来た・・・・・
水面下の
〝彼女〟は、太陽の光を反射して、とても綺麗だ!
心の底から「獲りたい!」と、強く想った!
何度目かの鋭い突っ込みを耐えた時、
〝彼女〟の頭が水面を割った。
すると、ひと息ついたように体が横を向いた。
「今がその時だ!」と判断し、
岸側にゆっくりとテンションをかけて引っ張る。
すると、横たわった姿勢のまま、殆ど無抵抗に、
スルスルと差し出したネットに納まった。
まさに、この瞬間がこのゲームのクライマックス!
他の誰かになんか渡せない。
自分の手でネットインしてこそ、
全てのストーリーが完結する。
この時
〝彼女〟と私の闘いは終わった。
あらん限りの、気力と体力を使い果たして横たわる、
荒い息づかいの
〝彼女〟を足元に置いて
思わず、歯を食い縛り、拳に力が入った!
「ヤッタゾ!」
空を見上げて、暫しの放心状態・・・
胸のドキドキがいつまでも止まらない・・・
ネットのまま、水面に浸して
〝彼女〟を眺める。
言葉に出来ない程の、荘厳さと生命感。
カメラを取リ出して何枚も何枚も画像に収める。
その無数にも及ぶカットの全てが、
カメラの・・・
そして心のメモリーに記録される。
白銀色に輝く
〝彼女〟は、本当に美しい。
日 時 平成20年 2月 17日 午前10時13分
今年もまた
幸運にも
〝彼女〟 に出逢えた事に、心からの感謝を。
そして、とても欲張りな事は百も承知だが
もっと もっと
もっと
出逢いたい!次の
〝彼女〟に・・・
長い文章にも係わらず
最後までお付き合い頂きまして本当にありがとうございました
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